巡る庭 -湧水と人々を紡ぎ育てること-
降水量が少ない香川県には「出水」という湧水池が点在する。香川県で生まれ育った設計者は、卒業論文で出水に関する研究に取り組み、地道な実測と聞取り調査などから、安全性確保のためのフェンスで囲われた出水が、人々の記憶の中で薄れつつあることを痛感しつつも、出水に生息する貴重な絶滅危惧種の植物の存在などに希望を見出すこともできたようである。
出水と地域の未来を育む第1歩として、香東川流域の二つの出水と両者をつなぐ水路、水路を跨ぐ3軒の空き家を「出水と地域の再生の場所」と位置づけ、設計者独自の自然感・歴史観・建築観によって、きめ細かで多角的な観点からの場所再生を行った。あえて新しい技術・素材による計画から距離を置き、サスティナブルな手法により、場所の潜在的魅力を引き出した見事な環境デザインとして高く評価したい。
出水と地域の未来を育む第1歩として、香東川流域の二つの出水と両者をつなぐ水路、水路を跨ぐ3軒の空き家を「出水と地域の再生の場所」と位置づけ、設計者独自の自然感・歴史観・建築観によって、きめ細かで多角的な観点からの場所再生を行った。あえて新しい技術・素材による計画から距離を置き、サスティナブルな手法により、場所の潜在的魅力を引き出した見事な環境デザインとして高く評価したい。
担当教員:岡山県立大学 向山 徹 先生